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さて、開戦直後に出版されたこの本。
胸当てズボン風モンペや、兵隊さん風の洋服など、
時代を感じさせるものもありますが、ボタンやアップリケ等
細部にまでこだわり、かわいさを追求しています。
こんな「ゼイタク」な本を、伯母はどうやって保管していたのか。
軍属として満州に渡り、その間に家は空襲で焼けてしまったし。
満州に隠し持って行ったのだろうか?手帳サイズだし。
だとしたら、見つからなくてよかったですね。
『子供ノきもの』
 中原淳一, 2圓30銭(昭和16年当時), ヒマワリ出版部

最近、実家の天袋を整理し、色々なものが発見されています。
多くは、数年前に亡くなった伯母の持ち物(古い手紙、本、等)。
大正生まれの伯母は、二十代の前半を戦争中におくりました。
私には想像のつかない苦労をしただろうにもかかわらず、
齢をとってからも、少女のようなところのある人でした。
そして、中原淳一が大好きでした。
女学生の頃、麹町にあった淳一グッズの店「ヒマワリ」に行くのが
とても楽しみだったと、よく話していました。




『髪の絵本』
中原淳一, 150圓(昭和23年当時), ヒマワリ社

これも伯母の持ち物の中にあった本。戦後のものです。
様々な髪の結い方、TPOの他に
山野愛子さんによる髪のお手入れ法、
マヤ・片岡さんによる化粧法も載っています。
少女から大人まであらゆる年齢の女の人一人ひとり、
それぞれが持っている美しさを最大限に発揮させるということに、
中原淳一という人が、いかに強い思いを持っていたか…。

「美しく装ふといふことが、色々な意味で困難な今の日本で、
割合に簡単に装へるものとしては頭の髪があります。……
髪の美しさは全身との調和の上に築かれるものだといふ點を
忘れないでください。……顔から上ばかりの不調和な美しさは、
枯枝の先に満開の花を接いだやうなぎこちないものになります。
つまり髪は髪だけで終らず、化粧にも衣裳にも、つひには
あなた方の心にまでつながつてゆく問題なのですから。」
「…この一冊が、そんなあなたのパイロットの役をつとめることが
出来たとしたら、この上もない幸ひだと思ふ。」
・・・と、中原氏は語っています。






『元気でね。』
 絵と文 佃二葉, 1250円, PHP研究所

佃二葉さんという人は、高校の美術部の先輩です。
この、まるでペンネームのような本名のおかげで
書店で目にとまり、思わず手にとりました。

ページを開くとそこはまさに私自身の高校時代。
旧海軍燃料廠(→米軍PX→返還されて学校になった)
だった、おんぼろ校舎のニオイも立ちのぼります。
でも、違う学校を出ていても、他の部活動をしていても
きっと誰にも懐かしい「あの頃」が描かれているのでは
ないかな・・・と、思います。

男の子にとっては、ヒミツの日記帳を覗き見るような
感じがあるらしいですが。





古典を読む「古今和歌集」
竹西寛子, 岩波書店

古今和歌集の解読書。

家の近くの図書館で時々借りて、読みかえします。
万葉集や、近代・現代の短歌もいいなぁと思いますが
個人的にしっくり来るのが、どうも古今和歌集あたりのようなのです。
たとえばこんな一首を読むと・・・

ゆく水に数書くよりもはかなきは 思はぬ人を思ふなりけり
―詠み人しらず―
(ゆく水に指をくぐらせて数を書くはかなさ、それにもましてはかな
 いのは、自分のことなどいっこうに思ってもくれない人を思うこと)

千年前に生きていた誰かと感情を共有できたとも思え、
人間って全然変わらないんだな〜、とも思え・・・。




『夜想曲 −高柳重信句集』
 
中村苑子編, 1000円, ふらんす堂 


京都・恵文社でみつけた一冊。
このごろ「俳句、いいなぁ」と思うようになっていたのですが、
この本で、多行形式というのを知って、
さらに「いい。」と感じています。

たとえばある一句は、こんなふうに印刷されています。

 



『トン・パリ 茂田井武画集』
3800円, トレヴィル

1930〜33年のパリで、20代前半の茂田井武が描いた絵日記帳。

スケッチブックをそのまま印刷したようなかたちなので……新聞の
切抜きや、切符の切れ端などが貼り付けられていたりもします……
生き生きとしたスケッチと、絵の脇に書かれた言葉が、当時のパリの
生活感や、若き日の茂田井武の胸の内までも伝えてくれます。

紙の黄ばみや染みもそのまま印刷されていて、憧れの茂田井武の
大事な思い出の画帳を、こっそり見せて貰えた様な、一冊です。





『フローラ逍遥』
澁澤龍彦, 3800円, 平凡社

「夏休み」の時季が来ると、本棚からとり出してみたくなる本。

18〜19世紀の、ヨーロッパの銅版や日本の写本を使った
鮮やかな植物図版と、その花に纏わる澁澤龍彦の文章。
目次の「金雀児」「苧環」「罌粟」といった花の名前を眺めて
いるだけでも、石造りの、天井の高い古い図書館で、
羊皮紙を使った贅沢な図鑑の頁をめくっているような気分に
なれる・・・かもしれない・・・本です。




『オノ・ヨ−コ 頭の中で組みたてる絵』
2200円, 淡交社

任意の種を入れた袋に穴をあけ、
風の吹くところにおく。

――というような「指示」の言葉だけの作品集。
本書は活字で収録されていますが、
私が初めてこれらの作品を観た美術館には
直筆の紙片が展示されていました。
ひとつひとつの言葉や、言いまわしから
たちのぼってくる空気とともに
小さなマス目に書き込まれた、とても几帳面な感じのする
インクの文字が、何か大切な石の欠片の様で
オノ・ヨ−コは大好きな芸術家の一人になりました。





茂田井武画集 古い旅の絵本』
2800円, JULA出版局

 
憧れの画家 茂田井武の画集です。

1930年代、シベリア鉄道経由でパリへ渡ったときの
スケッチをもとに描かれました。
どの地の風景も、人々のくらしぶりも、
つい昨日見たかのように生き生きと鮮やかです。

私としては、いまでは目にすることが難しい茂田井さんの作品が、
こんなふうに大切に集められて世に出される、ということも
とてもうれしいのです。




『びんだま飛ばそ』
庄司太一, 1600円, PARCO出版

 
びん博士として有名な、庄司太一さんのボトルシアター(日本初のびん博物館)へ
いってきました。
ものすごく古いびん。不思議なかたちのびん。
色様々、大小様々のそれは、びん世界でありました。

博士の数ある著書の中から、最近出版された一冊を紹介します。


びん博士とまではいかなくても、びんやガラスで出来たものが
好きな人は多いと思います。私もその一人です。

これは海でひろったガラス石です。

ひとつひとつちょっとずつ、色がちがっています。
海へいくと、貝殻よりもガラス石を一生けんめい探してしまいます。

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